Argusia スナビキソウ属
世界に3種あり、果実はコルク質で水に浮かび、海流によって散布される。属名は「砂引草」で、長い地下茎が砂の中を伸びていく様子に由来。
- モンパノキ(紋羽の木) 別名:ハマムラサキノキ
- Argusia argentea(=Messerschmidia argentea)(切手印面はTournefortia argentea となっている。Tournefortia はスナビキソウ属に近縁だが、中果皮が汁質ではない点で区別される。) 英名:Velvetleaf
- 旧世界の熱帯の海岸地域に広く分布。日本では九州(種子島以南)、沖縄、小笠原でみられるが、種子島では絶滅したといわれる。高さ数m~10mの常緑低木。葉は互生で全縁。若い枝や葉、花序に銀色の長い毛が密生している。枝先に緑白色の小さな花を多数つけ、熱帯ではほぼ年中開花。果実は直径4~6mmの球形で橙黄色に熟す。葉は野菜として利用されるが、タバコの代用とされることもある。沖縄では葉の搾り汁を魚介類の毒消しに使用するという。
Cordia カキバチシャノキ属
世界の熱帯、亜熱帯に広く分布し、250種以上が知られる。花が大輪で美しい種が多い。また、木材として優れた種や、薬用として用いられる種もある
- ジリコテ(Ziricote) Cordia dodecandra
- 中央・南アメリカに分布。
- キバナイヌジシャ Cordia subcordata
- 英名:Island Walnut、Sea Trumpet 現地名:Nawanawa(フィジー)、Te Kanawa(キリバス)、Toa(ピトケアン島) 種子は食べられる。
- アメリカチシャノキ Cordia sebestena
- 英名:Geiger Tree, Scarlet Cordia高さ5~10m。西インド諸島からベネズエラにかけての原産で、熱帯地方で広く栽培される。果実は熟すと白くなり、甘みがあって食用にされ、また風邪薬にも用いられる。
- コルディア・リクセケリ Cordia ricksekeri
Lithospermum ムラサキ属
北半球に約50種が分布。1年草~多年草。
- ムラサキ Lithospermum erythrorhizon
- 朝鮮半島、中国大陸、日本全土、アムール地方に分布。北米東部にも帰化している。乾燥した草原に生える多年草。高さ30~60cm。花は白色で6~7月に咲くが、名前の通った植物のわりには地味で目立たない花である。カタツムリ状花序で、下から上へと咲き進むにつれて直立していく。染料をとるために古くから栽培されてきたが、日光により退色しやすいため、今日ではあまり利用されない。漢方では根を干したものを紫根とよび、解熱や皮膚病の治療に用いる。華岡青洲のつくった軟膏(紫雲膏)は、痔、やけど、ひび、あかぎれ、湿疹などに用いられる。現在は絶滅危惧種に指定されている。種小名は「赤い根の」の意味。
Myosotis ワスレナグサ属 (Forget-Me-Not)
ユーラシア大陸の温帯、アフリカ山地から南アフリカ、オセアニアにかけて約50種が分布。1年草または多年草。
- タカネワスレナグサ Myosotis alpestris
- 英名:Forget-Me-Not 鳥はカラフトライチョウ Lagopus lagopus 英名:Willow Ptarmigan
- Myosotis asiatica
- ミオソティス・パルストゥリス Myosotis palustris
- ワスレナグサ 別名:ワスルナグサ(牧野富太郎による)、ヒメムラサキ
- Myosotis scorpioides
- 一般名:True or Common Forget-Me-Not, Water Forget-Me-Not
- ヨーロッパ原産の多年草。高さ10~30cm。観賞用に栽培される。花は蕾の時はピンク色だが、開花とともにコバルト色になる。花の直径6~8mm。花期は5~7月。花序は渦巻き状。園芸品種には花色がピンクや白の種類もある。日当たりの良い湿地や水辺を好むが、一般の花壇でも育つ。日本には明治時代に渡来。現在では逸出したものが各地でみられる。
- 属名 Myosotis はギリシャ語で「ハツカネズミの耳」の意で、葉の形状から。また種小名 scorpioides は「サソリの尾のような」で、花序の形に由来する。和名は英名のForget-Me-Notを訳したもの。ワスレナグサは、ヨーロッパでは友愛や誠実のシンボルとして親しまれ、さまざまな伝説も残っている。名前のいわれとなった伝説には次のようなものがある。
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- ある日、ドナウ川のほとりを、一人の騎士とその許嫁が歩いていた。そのとき、娘は一束のワスレナグサが水の面に浮んでいて、流れ去ってゆくのをみた。彼女はその花束を手に入れたいと願ったので、騎士道の誇り高い青年は、ただちに水中に身を躍らせ花束を手にしたが、重い鎧を身につけていたため、体の自由を失い、滑りやすい岸に這い上がることができなかった。青年はいくらもがいても体は水の中に沈んでゆくのを覚って、最後の力をふり絞り花束を岸にいた愛人のもとに投げ、泣き叫ぶ愛人に「私を忘れないで」と叫び、水中に姿をかくしてしまった。
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- 上記は春山行夫著 花ことば―花の象徴とフォークロア (下) (平凡社ライブラリー (157)) より引用(一部編集)
- なお上記の伝説にはいくつかの変容がある。また、14世紀イギリスのヘンリー4世(ランカスター朝初代のイングランド王。在位1399‐1413年)は、ワスレナグサを紋章の一つとし、以来、ワスレナグサをあらわすS字形の首飾りはランカスター家のシンボルとなった。
- スイスでは、若者がズボンのポケットにこの花を入れていくと、娘に気に入られるという。ドイツでは、この花を左の脇の下に入れて家路をたどると、途中で出会った最初の人が未来の配偶者の名を教えるという。
- 花言葉は「私を忘れないで」、「真実の恋、志操の不変」(英)、「親切、好意」「私があなたを愛するように、私を愛してください」(仏)など。
Onosma オノスマ属
地中海からヒマラヤ、中国に約150種が分布。
- オノスマ・カエスピトスム Onosma caespitosum
- 詳細不明。
Pulmonaria ヒメムラサキ属
ヨーロッパからアジアにかけて10種あまりが分布。多年草。
- プルモナリア・モリッシマ Pulmonaria mollissima
- ヒメムラサキの1種。
- プルモナリア・オフィキナリス Pulmonaria officinalis
- 英名:Common Lungwort
- ヒメムラサキの1種。ヨーロッパからロシア中部に分布し、気管支の炎症に用いられた。