Dianthus ナデシコ属
ユーラシアの半乾燥地域を中心に、北米の北部やアフリカに約300種分布。萼筒の基部に1対~数対の苞をもつ。属名は「ゼウス
Dios の花」の意で、花の美しさをたたえたもの。
- カーネーション(オランダセキチク、アンジャベル、オランダナデシコ、ジャコウナデシコ) Dianthus caryophyllus
- 英名:Carnation, Clove Pink, Picotee 古英:Gilly Flower (July Flower 「七月の花」 の訛り)
- 中国名:麝香石竹
- D. caryophyllusは現在流通しているカーネーションの園芸品種群の原種で、南ヨーロッパに分布していた。古代ギリシャ時代にはすでに栽培が始まり、17世紀にはフランスやイギリスで品種改良が行われはじめた。日本には江戸時代(1660年代)にオランダから渡来したとされるが、そのときは「アンジャベイル」とよばれていた。これはオランダ名のanjeleier による。古くは薬草として疫病、下痢、強心剤などに用いられた。
- キリスト教伝説によると、キリストが十字架にかけられた際、聖母マリアが落とした涙のあとにこの花が生じたとされ、そのためカーネーションは母性愛の象徴と考えられるようになった。1907年にアン・ジャービス(Ann Jarvis)の提唱によりはじまった母の日にカーネーションを贈る習慣は、このことにちなむ。またカーネーションの名は、この植物で花冠や花環をつくることから、花冠、花環を意味するラテン語 Corona に由来するという説と、花が肉色をしていたので、ラテン語の Caro(肉)から出た名であるという説の、二つの説がある。種小名は17世紀初期のカーネーションの古名「カリオフィルス」に由来し、「丁子(ちょうじ)に似た」という意味で、カーネーションが丁子のようによい匂いがすることをあらわしているという。
- 花言葉は花色により異なり、「私の哀れな心」(赤色)、「拒絶」(縞)、「軽蔑」(黄色)、「私の煩悩を察してください」(黒紅色)、「純愛」(白色)
- 切手(1)鳥はショウジョウコウカンチョウ(カーディナル) Cardinalis cardinalis 英名:Northern Cardinal 1982年 アメリカ
- 切手(2)1966年 アンドラ(スペイン郵政)
- セキチク(カラナデシコ、トウナデシコ) Dianthus chinensis
- 英名:Chinese Pink
- 中国原産の多年草。高さ20~50cm。茎葉は粉白色を帯びる。葉は対生し、先のとがった線状披針形。春から初夏にかけて縁がこまかく裂けた直径2~3cmの5弁花をつける。日本には平安時代に渡来。日本産のナデシコをヤマトナデシコ、セキチクをカラナデシコと区別して呼ぶようになった。花壇や鉢物に利用され、園芸品種も多い。花言葉は「嫌い」
- ディアントゥス・グラキアリス Dianthus glacialis
- 別名:ヒョウガナデシコ(氷河撫子) ヨーロッパアルプス原産の多年草。
- ディアンツス・プラシヌス Dianthus prasinus
- ディアンツス・ラモシッシムス Dianthus ramosissimus
- タカネナデシコ Dianthus superbus var.speciosa
- ヨーロッパから東アジアまでユーラシア大陸に広く分布する高山植物。花弁の直径6~7cm。日本でも見られる。
Lychnis センノウ属
多年草。北半球の温帯から寒帯にかけて約35種が分布。萼筒の基部に苞がない。
- リクニス・アルピナ Lychnis alpina
- ヨーロッパの高山帯でみられる多年草。高さ5~15cm。花期は6~8月。栽培が容易なので、ロックガーデンなどにもよく利用される。
Saponaria サボンソウ属
ユーラシア大陸に約30種が分布。属名は、シャボンの語源であるラテン語の「サポ(石けん)」に由来し、この属のサボンソウが多量のサポニンを含み、洗剤として利用されてきたことによる。薬用や洗剤用のほか、観賞用として栽培される。
- サボンソウ(シャボンソウ、セッケンソウ=石鹸草) Saponaria officinalis
- 英名:Soapwort, Bouncing Bet, Bouncing Bess
- ヨーロッパ原産の耐寒性多年草。高さ40~80cm。初夏から夏にかけて直径2~3cmの淡紅色または白色の花をつける。紅色や八重咲き品種もある。日本には明治初期に伝えられ、花壇にもよく植えられている。根にはサポニンを多量に含み、石けんの代わりに用いられる。また、根を乾燥させたものをサポナリア根 Radix Saponariae といい、梅毒や皮膚病など、古くから薬用としても利用されてきた。きょ痰、緩下(かんげ)、胆汁分泌促進、消炎などにも利用されるが、作用が激しく、用量を間違えると激しい下痢を引き起こす。また、ヨーロッパでは古くから、新鮮な葉や乾燥させた根茎をハーブとしても用いてきた。
Silene マンテマ属 (Catchfly, Campion)
1年草または多年草、ときに木本。世界に約400種が知られ、多くは地中海地域に生育。
- マンテマ Silene gallica var.quinquevulnela
- ヨーロッパ原産の1年草または越年草。高さ15~45cm。日本には江戸時代の弘化年間に渡来したとされ、現在は全国各地に帰化している。
- シレネ・コルディフォリア Silene cordifolia
- マンテマの1種 Silene fraudratrix
- 詳細不明。