Alocasia アローカシア(クワズイモ)属 (Elephant Ear)
多年草。スリランカ、北は日本、南はオーストラリアにかけて約60種が分布。和名は芋がえぐくて食用にならないことから。しかし一部の種は食用にされる。観葉植物としての利用も多い。【管理】高温多湿の環境を好む。耐陰性もあり室内の半日陰でも育てられるため、観葉植物とxして向いている。逆に強い直射日光に当てると葉やけを起こすことがある。冬期は保温設備のない戸外などでは水やりを控えて休眠させる。繁殖は5~6月に茎を5~6cmの長さに切って挿し木する。
- アロカシア・インディカ・メタリカ Alocasia indica var. metallica
- 英名:Silver Leaf Elephant Ear
- インドクワズイモ Alocasia macrorrhiza (Syn. A. indica) 英名:Giant Taro, Elephant Ear
- クワズイモよりもさらに大型。葉身は大きく1mを超えることもある。インドから太平洋諸島にかけてひろくみられるが、人間の活動によるもの。トンガやサモアではデンプンを蓄えた太い地上茎を食用にする。観葉植物としても利用される。
Amorphophallus コンニャク属
サトイモ科全体の中でもっとも形態の変化に富む。旧世界の熱帯に約100種が分布。日本には固有種のヤマコンニャク A. kiushianus が四国、九州、南西諸島などに分布。
- ショクダイオオコンニャク(燭台大蒟蒻) 別名:スマトラオオコンニャク Amorphophallus titanum
- 英名:Titan Arum
- スマトラ島に分布。葉の高さが約5mにもなる大型のコンニャク。肉穂(にくすい)花序は高さ3m以上になり、悪臭を放つ。開花後1週間ほどで腐る。1990年の大阪花博で、この植物の巨大な花のレプリカが展示されていた記憶が筆者にはある。
- コンニャクの1種 Amorphophallus sp.
Anthurium アントゥリウム属
アントゥリウム属の植物は園芸上は「アンスリウム」と総称される。サトイモ科最大の属で、西インド諸島と中米、および南米のパラグアイ以北まで約1000種が分布。仏炎苞から尻尾のように花序が出ている姿から「テイルフラワー
Tail Flower」ともよばれる。
- オオベニウチワ(アンスリウム) Anthurium andreanum
- 英名:Flamingo Flower
- コロンビアとエクアドル原産の着生種。肉穂花序を赤い心形の仏炎苞が包む。
- 【管理】高温多湿を好むため、葉水をこまめに与えるなどして空中湿度を保つ。冬場も15℃~18℃を保つ。鉢土はあまり過湿にしないほうがよく、過度の水やりは禁物。土壌は排水と保水のよいものを。繁殖は実生、または5月中旬~6月に株分けで。
Arum アルム属
地下に塊茎を有する多年草。ヨーロッパから地中海沿岸にかけて約26種が分布。ヨーロッパでは古くからデンプン採取、薬用、媚薬(びやく)の原料などに利用されてきた。
- アルム属の1種 Arum cirenaicum(印面のまま)
- アルム・マクラトゥム Arum maculatum
- ヨーロッパと北アフリカに分布。塊茎はデンプンを多量に含み、エリザベス朝時代の衣装のひだ襟飾りを固めたり、あごひげを固めるのに用いられたという。
Calla ヒメカイウ属(Water Arum)
1種からなる属で、北半球の寒冷な地域に広く分布する多年草。
- ヒメカイウ(ミズザゼン) Calla palustris
- 寒地の湿原や池に多い。白い仏炎苞をもち、ミズバショウに似る。果実は液果で赤く熟す。日本では北海道と本州中北部で見られる。
Lysichiton ミズバショウ属
サトイモ科では原始的な群。
- ミズバショウ Lysichiton camtschatcense
- 別名:別名:オーバ(青森)、ヤマタバコ(岩手)、ヤマナ(新潟)、ウシノベラ(長野)
- 寒冷地の水湿地に生える多年草。兵庫県以北、サハリンからカムチャツカに分布する。春、葉の萌芽と同時に、白色の仏炎苞に包まれた、長さ5~10cmの黄緑色の肉穂花序を出す。花後に伸びる葉は肉厚、長楕円形で、長さ80~100cm、幅30cmにもなり、バショウの葉に似る。果実は水流によって散布される。日本では尾瀬ヶ原の群落が有名で、「夏の思い出」(作詞:江間章子 作曲:中田喜直)の歌に登場したこともあって、ミズバショウの咲く尾瀬の風景は、多くの日本人にとって憧れの夏のイメージとして定着している。ちなみに尾瀬のミズバショウが見頃なのは、5月末~6月中旬である。
Colocasia サトイモ属 (Taro, Elephant Ear)
多肉な地下茎や地上茎が発達する多年草。中国南部、ヒマラヤ、インドシナ半島に4~5種が分布。
- サトイモ Colocasia esculenta
- 英名:Taro, Cocoyam, Dasheen, Eddo
- 高さ約1.5mの多年草。肥大した地下茎(塊茎 かいけい)を食用とする。また「ずいき」と称される葉柄(ようへい)も食用とされる。花は長さ10~25cmの肉穂花序で、淡黄色の仏炎苞に覆われるが、日本ではまれにしか見られない。インド東部からインドシナ半島にかけての地域が原産ともいわれるが、栽培の歴史が古く、起源ははっきりしないという。現在では世界の熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されている。日本には稲作以前に渡来していたといわれる。なお野生種の地下茎は肥大せず、えぐみと毒がある。属名はギリシア古名 colocasion からで、本来はハスにつけられた名。
Monstera モンステラ属
常緑の多年草で、多くはつる性。茎はやや木質化する。熱帯アメリカに約60種が分布。観葉植物として利用される。乾燥、低温にも強い。
- モンステラ(ホウライショウ) Monstera deliciosa
- 英名:Ceriman, Swiss-cheese plant
- メキシコ、中央アメリカ原産。日本の園芸で「モンステラ」と呼ばれるものの代表種。明治期に導入された。葉は濃緑色で羽状の切れ込みがあり、また窓のような穴もある。属名もこの奇妙で特徴的な葉の形状に由来する。仏炎苞は長さ20~30cmで多肉質。肉穂花序は長さ20~25cmで、熟すと強い芳香があり、食べられる。ただし、未熟果はシュウ酸カルシウムを含むので注意が必要。
- 【管理】耐陰性や耐寒性もあり、育てやすい。ヘゴ仕立てなどで楽しむことも多い。繁殖は挿し木または実生で。
Spathiphyllum ササウチワ(スパティフィルム)属
アメリカ熱帯に約60種が分布。「平和のユリ Peace Lily」とよばれ、観葉植物として人気。【管理】室内の明るい場所で育てる。やや乾燥に弱い。冬期は10~12℃に保つ。繁殖は実生または6~7月に株分けで。
- スパティフィルムの1種 Spathiphyllum sp.