Achyrocline アキロクリネ属
- マセラ Achyrocline satureoides
- 通称名:Macela, Marcela, Birabira, Marcela del Campo他
- 南米大陸に分布。薬草として利用されているようである。また抗ウィルス作用もあるといわれる。
Arctotis ハゴロモギク属
南アフリカに約50種が分布する多年草。茎葉ともに短い白毛で覆われている。若い花は夜閉じる。舌状花の基部が色濃くなるのが特徴(ガザニア属、ウェニディウム属にも共通)。ガザニアに似るが、総苞片が基部で合着しない。属名はギリシア語で Arktos(クマ)の Otos(耳)の意で、種子が綿毛に包まれている様子をしめしたもの。
- ハゴロモギク(アークトチス) Arctotis venusta Syn. A. stoechadifolia, A. grandis
- 英名:African Daisy
- 日本には大正初期に渡来。いまではグラウンドカバーとしての利用が多い。
【管理】多年草だが、ふつう秋まき1年草として扱う。冬期には霜よけ下で保護すれば、5~6月に開花する。寒地では早春にフレーム蒔きし、4月に移植すれば7~8月に開花する。種子をまくときは、川砂と一緒にもんで綿毛をとって蒔くとよい。
Arnica ウサギギク属
北半球の温帯から寒冷地にかけて約100種が分布する多年草。大部分が北米に産する。
- アルニカ Arnica montana
- 英名:Leopard's-Bane, Mountain Arnica, Mountain Tobacco
- ヨーロッパに分布する多年草。頭花を乾燥したものは苦味物質のアルニキン arnicin と精油を含み、傷薬やかゆみどめに、また根を乾燥したものはアルニカ根 Arnica Root とよばれ、傷薬のほかに解熱や興奮剤として用いられる。
Artemisia ヨモギ(アルテミシア)属
北半球の暖帯から寒帯に多い。虫媒花のキク属が、虫の少ない乾燥地帯に進出して風媒花になったグループだといわれている。そのためか湿地や森の中では見かけない。葉は切れ込みが多く、毛に覆われている。属名はギリシア神話の女神
アルテミス Artemis(Diana)に由来。ヨモギが婦人病に効果があり、女神アルテミスの聖草とされたためという。
- Artemisia herba-alba
- アルテミシア・トゥリデンタータ Artemisia tridentata
- 英名:Sagebrush
- ヨモギの1種。鳥はムジルリツグミ Sialia currucoides 英名:Mountain Bluebird
Baccharis バッカリス属
南米と北米に約300種が分布。草本または木本。観賞用や薬用に利用される。
- バッカリス・トゥリメラ Baccharis trimera
- 通称名:Carqueja, Bacanta, Bacarida, Cacaia-amarga他
- 南米大陸に分布。薬草として利用される。
Bellis ヒナギク属
地中海沿岸からヨーロッパに約15種が分布。
- ヒナギク(デージー) Bellis perennis
- 別名:エンメイギク(延命菊)、チョウメイギク(長命菊)
- 英名:Common Daisy, English Daisy, True Daisy
- ヨーロッパ西部に広く分布する多年草。高さ約10cm。大輪、中輪、小輪、八重咲き、ポンポン咲き(盛り上がり咲き)、平弁や管弁、花色は紅、白、ピンクなど多くの品種があり、花壇に利用されることが多い。属名はヒナギクのラテン名で、bellus(美しい)に由来。種小名は「多年生の」の意。デージーの名は、花の形から「デイズ・アイ Day's Eye=太陽」とよばれていたことによる。根が強く張るため、中世ヨーロッパでは魔よけとして利用された。日本には幕末または明治初年に渡来。
Berardia ベラルディア属
- ベラルディア・スバカウリス Berardia subacaulis
Calendula キンセンカ属
地中海沿岸を中心にカナリア諸島から西アジアにかけて約20種が分布。観賞用、食用、薬用などの用途がある。
- キンセンカ(トウキンセンカ) Calendula officinalis
- 英名:Common or Pot Marigold
- 南ヨーロッパ原産の秋まき1年草。頭花が金の盞(さかずき)のように見えることから金盞花の名が付いた。属名は花期が長く毎月のように花が咲くことから、ラテン語の1ヶ月 Calendae を語源としている。また日本でも同様の意味から「チョウシュンカ(長春花)」「トキシラズ」などという呼び方もある。高さは約60cmになるが、近年は15cmくらいの矮生品種もある。
- 古くからヨーロッパや中国では胆汁分泌の促進、止血、傷の治療などに用いられた。また「貧乏人のサフラン」とよばれていたように、高価なサフランの代わりにスープに浮かべたり、調味料やバター、チーズなどの色づけに使われ、サラダなど食用にもされた。日本には元禄時代までに中国から渡来した。なお、ポット・マリーゴールドとも呼ばれるが、アフリカン・マリーゴールド、フレンチ・マリーゴールドなど(マンジュギク属 Tagetes)とは別属である。英語ではどちらも Marigold なのでまぎらわしい。
- 【管理】秋に播種し、霜よけ下で冬を越すと、3~5月ころに次々と開花する。暖地では8月中旬にまくと、年末から咲き始める。酸性土を嫌うので、種をまく前の土に1平方mあたり50gの消石灰を施すとよい。
Callistephus エゾギク属
エゾギク Callistephus chinensis 1種のみの単型属。属名のカリステフスは「美しい冠」の意味で、痩果の冠毛が美しいことによる。
- エゾギク Callistephus chinensis
- 英名:China Aster
- 中国北部、朝鮮半島北部、西チベットなどに自生する1年草。茎葉に粗毛がある。葉は互生し葉身は卵形。粗い鋸歯があり、下部の葉には柄がある。夏から秋に大型の頭花を開く。一般に「アスター」の名で流通しているが、シオン属(Aster)の植物とは無関係。
- 日本には江戸時代の半ばに導入され、「蝦夷菊」「薩摩菊」などとよばれた。園芸品種が非常に多く、花色は赤、桃、青、紫、白、黄などさまざまで、花型も一重咲き、ポンポン咲き、丁字咲き、針弁咲きなどがある。高性種(高さ約60cm)は切花用に、矮生種(高さ約20~30cm)は鉢植えや花壇に利用される。
- 【管理】暖地では秋まき。それ以外では春まき。寒さには強いが高温多湿に弱く、日本の平地では育ちにくい。移植を好まないので直まきして間引く。酸性土では生育が悪いので石灰で土壌を中和する。連作障害あり。種子の寿命は短い。
Carthamus ベニバナ属
14種が地中海地方からアジアに分布。多くは1年草。属名のカルタムスはアラビア語の「染める」に由来。
- ベニバナ(すえつむはな=末摘花、くれのあい=呉藍)
- Carthamus tinctorius
- 英名:Safflower, False Saffron
- 現在では自生地が確認されず、原産地はアラビア、またはエチオピア付近と考えられている。古代エジプトのミイラを巻いていた布は、ベニバナの色素で染めたといわれている。日本へは6世紀から7世紀初めに、朝鮮半島経由で渡来。1989年に、6世紀中頃と推定される藤ノ木古墳から、ベニバナの花粉と、ベニバナからつくられたとみられる顔料が出土した。江戸時代には染料植物としての栽培が盛んになり、最盛期には年間200トンを超える生産があった。主産地は山形県で、県の花にもされている。近年は染料としての需要は減っているが、逆に食用油としての需要が増えている。
- 種小名は「染色用の、染料の」の意。別名のクレノアイ(呉藍)は「紅=くれない」の語源となった。
Centaurea ヤグルマギク属 Knapweed, Hardhead, Spanish Button, Cornflower
地中海と中東に約450種が分布。ほとんどが草本。乾燥に強い。属名は、ギリシャ神話の半人半獣のケンタウロスが、ヘラクレスから受けた毒矢の傷を、この属の植物を用いて治した伝説にちなむという。和名は、花の形を鯉のぼりの先端の矢車に見立てたもの。なお、ヤグルマソウともいうが、ユキノシタ科に同じ名の植物があり、まぎらわしい。
- ヤグルマギク(ヤグルマソウ) Centaurea cyanus
- 一般名:Cornflower, Blue Bottle
- 南ヨーロッパから西アジア原産。高さ60~90cm。品種により高性、矮性、一重、八重、花色も紫、白、ピンクなどさまざまなものがある。エジプトのツタンカーメン王の棺に入れられていたことで知られる。
- ヤグルマアザミ Centaurea jacea
- ヨーロッパ原産。日本では明治末期に帰化が確認されているという(参照:「日本の外来種リスト」)
- ヤマヤグルマギク Centaurea montana
- 英名:Mountain Bluet
- カフカス地方からヨーロッパ原産の多年草。花色は紫、青、ピンクなど変異が多い。高さ60~70cm。
- ケンタウレア・レグシナ Centaurea ragusina
- 英名:Dusty Miller, Dubrovnik Cornflower, Ragusa
- クロアチア地方にみられるヤグルマギクの1種。クロアチアでは保護の対象となっているようである。なお、英名の Dusty Miller はセネキオ属のシロタエギクなどに対しても使う。
- ケンタウレア・ムリカタ Centaurea muricata
Chiliotrichum キリオトゥリクム属
- キリオトゥリクム・ディッフスム Chiliotrichum diffusum
- 英名:Fachine
Chrysanthemum キク属
北半球の温帯域を中心に200種以上が分布する。1年草、多年草、灌木状になるものなど、生活形態も多様に分化している。そのため、シュンギク属 Chrysanthemum キク属 Dendranthema フランスギク属 Leucanthemum ミコシギク属 Leucanthemella ハマギク属 Nipponanthemum シロバナムシヨケギク属 Pyrethrum ヨモギギク属 Tanacetum をそれぞれ別属として扱うことも多い。
- ノジギク Chrysanthemum japonense (Dendranthema occidentali-japonense)
- 西日本の秋を代表するキク。牧野富太郎が1884年、高知県で発見した。山道で発見されたのでこの名がつけられたが、実際は海岸付近の崖や傾斜地などに多い。高さ60~90cm。葉は互生。5つまたは3つに切れ込み。裏面は灰白色の丁字状の毛に覆われている。頭花は直径3.5~5cm。花期は10~12月。牧野富太郎は栽培菊の原種の一つと考えたが、この説は現在は否定されている。兵庫県の県花。
- キク Chrysanthemum morifolium
- キクは広義にはキク属の総称でもあるが、狭義にはおもに観賞用として栽培される栽培ギクを指す。奈良時代の初期に中国から伝来したとされる。江戸時代に入ってキク作りは急速に広まり、栽培技術も進歩し、多くの園芸品種が作出された。キクは観賞用のほか薬用・食用としての利用もある。食用菊としては「もってのほか」が有名。
Cosmos コスモス属
1年草または多年草で、米国アリゾナ州から南米ボリビアに至る地域に分布している。ダリア属に近い。
- コスモス
- 別名:オオハルシャギク、アキザクラ
- キク科の1年草。原産地はメキシコ。高さ1~2m。枝はよくわかれ、葉は対生で羽状に裂ける。頭花は通常8枚の舌状花。多数の園芸品種がある。ヨーロッパへは、18世紀の後半にスペインを経て広まったとされる。日本には幕末の文久年間に、オランダ人が薩摩藩に伝えたのが最初といわれる。外来の植物でありながら、すっかり日本の秋の風景に溶け込んでいる。性質は強く、どこでもよく育つ。秋の季語にもなっている。花言葉は「乙女の真心」
Dahlia ダリア属
地下に塊根を有する多年草。約27種がメキシコとグアテマラの、おもに標高1000~4300mの高原地帯に分布。多くの園芸品種がつくられている。属名はスウェーデンの植物分類学者で、リンネに師事したダール(Anders Dahl, 1751-89)を記念したもの。
- ダリア(テンジクボタン) Dahlia pinnata (=D. variabilis)
- 英名:Dahlia
- メキシコ原産の多年草。高さ30~200cm。夏から秋にかけて大型の頭花をつける。ヨーロッパに入ったのは、1789年に原産地のメキシコからスペインのマドリード植物園に送られた種子が最初といわれている(翌年開花)。現在では多くの国で3万種を超える多数の園芸品種がつくられている。日本への渡来は、1841(天保12)年頃にオランダから長崎にもたらされたと言われ、「天竺牡丹」あるいは「ラノンケル」と呼ばれた。花言葉は「華麗・エレガンス」。
- 【管理】冷涼な気候、日当たりと水はけのよい場所を好み、繁殖はおもに分球と挿し芽による。球根は、北海道や東北地方などの寒地では4~5月、暖地では2~3月に定植する。
Doronicum ドロニクム属
多年生の草本で、北アフリカからユーラシア大陸温帯地域に約35種が分布する。
- ドロニクム・コルダツム Doronicum cordatum
Echinops ヒゴタイ属
地中海地方から中央アジアの乾燥地域を中心に約120種が分布。1~2年草あるいは多年草。葉は羽状に切れ込み刺がある。球状の花は、1小花からなる頭花がさらに多数密集したもの。属名は「ウニあるいはハリネズミに似たものの意で、花の形態にちなむ。実際触れると痛い。ルリタマアザミ(ヨーロッパから中央アジアにかけて分布)はこの仲間。
- エキノプス・スファエロケファルス Echinops sphaerocephalus
Gnaphalium ハハコグサ属
世界中に約200種が広く分布。
- グナファリウム・ピラミダレ Gnaphalium pyramidale
Gynura サンシチソウ(ギヌラ)属
1年生あるいは多年生の草本。アフリカとアジアの熱帯から暖帯に約20種が分布。野菜や薬用にされる種もある。
- ギヌラ・プセウドチャイナ Gynura pseudo-china
- インドからマレーシアにかけて分布する多年草。東南アジアやインドでは出血に関した病気の治療に用いられる。インドでは肥大した根の粉末を茶に入れて、産婦の飲料とする。
Helianthus ヒマワリ属
1年草または多年草で、北アメリカに約100種分布。
- ヒマワリ(ヒグルマ、ニチリンソウ) Helianthus annuus
- 英名:Sunflower
- 中国名:向日葵
- 夏に巨大な花を咲かせる1年草。北米中・西部が原産だが、自生種の花は小さい。観賞用とされるほか、種子は食用油脂、灯油、飼料などに利用される。
- 和名のヒマワリ、漢字の向日葵には、常に太陽に向かって咲いているというイメージがあるが、向日性は咲きはじめのときをのぞいてほとんどない。属名のヘリアンツスは「太陽の花」を意味する。
- ヨーロッパへはコロンブスのアメリ大陸発見後に伝わった。フランスの太陽王ルイ14世(在位1643~1715)の紋章はこの花。日本へは中国を経て1666年に伝わったとされ、貝原益軒『大和本草』(1709)に「俗に、日向葵(ひゅうがあおい)とも日マハリともいう」とあるのが日本での最初の記録という。また同時に益軒は「花よからず最下品なり」とも記しているが、今や日本の夏の風景にはなくてはならない花となった。
Helichrysum ムギワラギク属
アフリカ、オーストラリア、ユーラシアに約300種が分布するが、とくにオーストラリアと南アフリカに集中している。属名はギリシア語のhelios(太陽)とchrysos(金)の2語により、本属のある種の花の色に由来する。
- ヘリクリスム・トムソニイ Helichrysum thomsonii
Hieracium ヤナギタンポポ属
ヨーロッパを中心に世界の温帯に約1000種が分布。属名はギリシャ語の「hierax
(鷹)」に由来し、鷹が視力を強めるために食べるとの伝承による。
- チシマタンポポ Hieracium alpinum
- 英名:Alpine Hawkweed
- ヨーロッパに分布する多年草。