Arbutus アルブトゥス属
地中海沿岸、カナリア諸島、北米西部など、乾燥した地中海性気候の地域に20種が分布。
- イチゴノキ Arbutus unedo
- 英名:Common Strawberry Tree
- 高さ3~4mの常緑低木。地中海地域とアイルランドに分布。樹皮は薄皮状にはがれ、樹幹は端褐色をしている。秋に壺状の花をつける。果実は直径約2cmで食用になり、酒もつくられる。観賞用としての利用もある。
Epigaea イワナシ属
北米東部に分布するアメリカイワナシと日本に自生するイワナシの2種のみの属。イワナンテン属に近いが、果肉が肉質になる。
- アメリカイワナシ Epigaea repens
- 英名:Trailing Arbutus, Mayflower, Ground Laurel
- 北米東部原産。ネイティブ・アメリカンは強壮剤などの薬用にした。
- 鳥はアメリカコガラ
- Parus atricapillus
- 英名:Black-capped Chickadee
Erica エリカ属
ヒース(※)を構成する主要な植物として知られる植物。ヨーロッパおよび南アフリカに約630種が知られ、そのうち南アフリカには約600種が集中する。常緑低木で、多くは高さ1m以下。葉は針状で短く、杉の葉のように見える。花は壺形か鐘状で花冠は4裂。花色は多彩で多くの種が観賞用に栽培される。
欧米ではこの植物をクリスマスやイースターの切花として用いる。またイギリス北部の農民は、藁の代わりにベッドや屋根葺きなどに利用し、若い芽をホップの代用とした。
(※)ヒース heath とは、ツツジ科などの常緑矮性低木が優占する植生。もともとの意味は「荒野」。
欧米ではこの植物をクリスマスやイースターの切花として用いる。またイギリス北部の農民は、藁の代わりにベッドや屋根葺きなどに利用し、若い芽をホップの代用とした。
(※)ヒース heath とは、ツツジ科などの常緑矮性低木が優占する植生。もともとの意味は「荒野」。
- エリカ・カルネア Erica carnea
- ヨーロッパ・アルプスに分布する小型種。高さ約30cm。花は春咲きで壺形。野生種の花はピンク色。暗紫色の葯が花冠から飛び出している。ヨーロッパでは冬の代表的な花木とされる。多くの園芸品種の親。
Kalmia カルミア(ハナガサシャクナゲ)属
北アメリカからキューバにかけて約8種が分布。属名は、リンネの弟子で北アメリカ植物の研究をしたカルム(P.Kalm,
1715~79)の名にちなむ。
- カルミア(アメリカシャクナゲ) Kalmia latifolia
- 英名:Mountain Laurel
- 北米東部の原産。葉に有毒成分があり、動物は食べない。日本には大正年間に渡来。
- 鳥はコマツグミ
- Turdus migratorius
- 英名:American Robin
- 英語ではロビンとよぶが、コマドリの仲間ではなくツグミの1種。ロビンより大きくて、全長約26cm。春早くから人家近くでほがらかな声でよくさえずる。人々によく親しまれている鳥のためか、赤い胸はイエス・キリストを苦しめるイバラの冠をはずそうとして近寄ったとき、その血しぶきを浴びたためとか、数々の伝説がある。ミシガン州の州鳥でもある。
- 日本のアカハラと同属。
- 鳥はエリマキライチョウ
- Bonasa umbellus
- 英名:Ruffed Grouse
Ledum イソツツジ属
常緑低木。北半球の寒冷な地域に3種が分布。
- イソツツジ? Ledum palustre (印面のまま)
Pernettya ペルネッティア属 (Prickly Heath)
中米から南米南端に約30種が、ニュージーランドとタスマニアに1種が隔離的に分布。庭園樹として利用される。
- ペルネッティア・プミラ Pernettya pumila
- 英名:Mountain Berry
Rhododendron ツツジ属
ツツジ科の中で最大の属。世界の熱帯から寒帯まで、約850種が知られる。交配も容易でおびただしい数の園芸品種がつくられている。花や葉には有毒なアルカロイドを含有し、蜜も有毒。
- ネモトシャクナゲ Rhododendron brachycarpum f. nemotoanum
- ハクサンシャクナゲの八重咲き品種。東北地方の吾妻山系と鳥海山が自生地として有名。福島県吾妻山中腹の群落は国の天然記念物に指定されている。福島県の県花。
- ロドデンドロン・フェルギネウム Rhododendron ferrugineum
- 英名:Alpine rose
- ヨーロッパ・アルプスに分布。高山の岩場に生える。低木で、枝はよく分枝し密生する。ツツジ属の基準種。
- サツキ Rhododendron indicum
- 半常緑の低木。6~7月頃に約直径5cmの朱色の花を咲かせる。渓岸植物(渓流沿い植物)の代表種。多くの園芸品種がある。
- ミヤマキリシマ Rhododendron kiusianum
- 別名:ウンゼンツツジ(長崎県)
- 九州の標高1000m以上の火山地帯に多く、霧島、阿蘇、九重、雲仙などで大群落を形成している。枝は横に広がり、樹高は1m以内。花の色は紅紫色のほか、朱紅色、紫色、白色など変化に富む。半落葉性。園芸種クルメツツジの母種。
- 長崎県、鹿児島県の県花。左の切手は、どちらも1990年発行の「都道府県の花」のうちの2種。 (1)は長崎県、(2)は鹿児島である。長崎県の切手の印面には「雲仙ツツジ」と書かれているが、これは種としてのウンゼンツツジ R. serpyllifolium のことではなく、ミヤマキリシマの別名である。ちなみに、種としてのウンゼンツツジの分布域は、伊豆半島、紀伊半島、四国南部、九州の大隅半島で、長崎県には分布しない。
- 江戸時代から島原藩では、雲仙に生育するツツジ(つまり R. kiusianm )をウンゼンツツジと呼び習わしてきたが、1914年(大正3年)に牧野富太郎がこれにミヤマキリシマという和名をつけたため、その後1954年に長崎県が県花を制定する際、名称を「雲仙ツツジ(ミヤマキリシマ)」とした。ところで、長崎以外の他の地域では、1914年以前にはミヤマキリシマのことを何と呼んでいたのだろう?
- レンゲツツジ Rhododendron molle var. glabrius (R. japonicum)
- 英名:Japanese Azalea
- 日本の本州、四国、九州に分布する落葉低木。山地の草原や林縁、湿原などに生育。高さは1~2m。花は直径約5cmのろうと形で、花色は朱橙色あるいは橙色。変異も多く、温暖地や南方のものほど黄味が強い。黄色または黄橙色のものを「キレンゲツツジ」とよぶこともある。有毒植物で、これを蜜源とした蜂蜜は、しばしば中毒を起こすことで知られる。
- アカヤシオ Rhododendron pentaphyllum var. nikoense
- 別名:ヤシオツツジ、ゴヨウツツジ、アカギツツジ
- 葉が枝先に5枚輪生し、種小名もギリシャ語の「5枚の葉」に由来する。アケボノツツジに似るが、アケボノツツジの花柄には腺毛がなく、アカヤシオの花柄には長い腺毛がある。群馬県の赤城山や栃木県の日光地域に多い。栃木県の県花に指定されている。
- ロドデンドロン・クリスティアナエ Rhododendron christianae
- ロドデンドロン・クルットウェリー Rhododendron cruttwellii
- ロドデンドロン・スペルブム Rhododendron superbum
- ロドデンドロン・ゾエレリ Rhododendron zoelleri
- ニューギニア島アルファク山に自生。
- ロドデンドロン・マクロフィルム(シャクナゲの1種) Rhododendron macrophyllum
- 英国とカナダとの太平洋側国境付近からカリフォルニア州までに分布。
- 鳥はオウゴンヒワ
- Carduelis tristis
- 英名:Eastern Goldfinch, American Goldfinch
- ロドデンドロン・マクシムム(シャクナゲの1種) Rhododendron maximum
- 鳥はカーディナル
- リュウキュウツツジ Rhododendron × mucronatum
- 英名:Snow Azalea
- 中国名:杜鵑花
- 半落葉の低木。モチツツジ R. macrosepalum と キシツツジ R. ripense との雑種といわれ、多くの園芸品種がある。通常白の花色のものを多く見かけますが、切手のような花色の園芸品種もあるのでしょうか。
- ロドデンドロン・トムソニイ Rhododendron thomsonii
- ネパール東部からブータン、チベット南東部にかけて分布。変異が大きい。
Vaccinium スノキ属
北半球の寒帯から熱帯にまで約300種が分布。ほとんどの種が食用になる。このうち果樹として栽培されているものを一般にブルーベリーとよぶ。属名は
vacca(牡牛)の形容詞 vaccinus(牡牛の)に由来。また、bacca(液果)を語源とする説もある。
- ビルベリー Vaccinium myrtillus
- 英名:Bilberry, Whortleberry, Lowbush Blueberry
- 高さ20~60cmの落葉低木。ヨーロッパ、アジア北部、北アメリカ北西部に分布。葉には鋸歯がある。花は赤色。ジャムや染料、酒の着色などに広く利用される。果実が黒紫色の仲間はブルーベリーとよばれる。
- オオミツルコケモモ(クランベリー) Vaccinium macrocarpon
- 英名:Cranberry
- コケモモ Vaccinium vitis-idaea
- 英名:Cowberry
- 高さ5~30cmの常緑低木。ヨーロッパ中・北部、北東アジア、北アメリカに分布。花期は5~6月。果実は直径約6mm。種小名は「イダ山のブドウ」の意。イダ山とはクレタ島にある霊峰で、ギリシャ神話にたびたび登場する。生食やジャム、果実酒として利用される。