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イネ科 Poaceae

世界に約600属9500種以上が分布。人間の食生活にもっとも深く関わってきた植物群のひとつ。

 Cenchrus クリノイガ属
 世界の熱帯を中心に約25種がある。刺が生えてクリのイガの形をした小穂をもつ。

ケンクルス・キリアリス Cenchrus ciliaris ケンクルス・キリアリス
Cenchrus ciliaris
 Syn. Pennisetum cenchuroides, P. ciliare
英名:Buffelgrass, African Foxtail Grass, Anjan Grass, Hairy
熱帯アフリカ原産の多年草。高さ20〜50cm。熱帯地方に広く分布し、良質の牧草とされる。
1984年 ボプタツワナ


 Cymbopogon オカルガヤ属
 アジア、アフリカに約30種が分布。精油を含み、芳香性をもつ種が多い。ハーブとして知られるレモングラス C. citratus もこの仲間。

キンボポゴン・パルケリ Cymbopogon parkeri キンボポゴン・パルケリ
Cymbopogon parkeri
アラビア語名:Askhabar
 カタールの北部、中央部に分布。
1991年 カタール


 Hyparrhenia ヒパレニア属

ヒパレニア・ドゥレゲアナ Hyparrhenia dregeana ヒパレニア・ドゥレゲアーナ
Hyparrhenia dregeana
 Syn. H. pilosissima
英名:Drege's Deckgrass, Tambuki Grass, Silky Thatching Grass
アフリカ南部の半乾燥地に分布。
1984年 ボプタツワナ


 Lagurus ウサギノオ属
 地中海沿岸を中心に分布する1属1種の植物。

Lagurus ovatus Lagurus ovatus ウサギノオ
Lagurus ovatus
英名:Rabbit-tail Grass, Hare's-tail Grass
 地中海地域原産の1年生草本。高さ約30〜60cm。ドライフラワー用に栽培される。属名はギリシャ語のLagos(ノウサギ)のOura(尾)から。栽培されていたものが世界各地で逸出帰化している。
参考文献:日本帰化植物写真図鑑―Plant invader600種(全国農村教育協会)ほか。
1988年 ガーンジー 1988年 ガーンジー


 Oryza イネ属
 1年草または多年草。熱帯から亜熱帯の湿地に24種が広く分布するが、イネ属の中で一般に食用とされるのはイネ(O. Sativa )とアフリカイネ(O. glaberrima )の2種だけ。

イネ
Oryza sativa
英名:Rice
稲(中国名)
 コムギ、トウモロコシと並んで、世界の三大穀物の一つに数えられる。約7000〜8000年前に中国で栽培が始まり、期限算にはアジア、アフリカ、ヨーロッパに広がったとされる。日本では1年草として扱われるが、本来は多年草なので、熱帯では刈り取られた株から出た新芽をそのまま育てて収穫する方法もとられる(株出し法)。
Oryza sativa
1960年 インドネシア
Oryza sativa
1983年 日本


 Panicum キビ属
 世界の熱帯から温暖な地域にかけて約400種が分布。

ギニアキビ Panicum maximum ギニアキビ
Panicum maximum
英名:Guinea Grass
熱帯アフリカ原産の、高さ3mに達する大型の多年草。飼料として世界の暖地で栽培され、野生化もしている。
1984年 ボプタツワナ

 Poa イチゴツナギ属 Blue-Grass, Meadow-Grass
 1年草から多年草。温帯を中心に世界に約500種が分布。

ポア・フラベラタ Poa flabellata ポア・フラベラータ
Poa flabellata
1972年 トリスタン・ダ・クーニャ


 Saccharum サトウキビ属
 大形の多年草。熱帯から亜熱帯に約30種が分布。

サトウキビ(砂糖黍)、カンショ(甘蔗)
Saccharum officinarum
英名:Sugar Cane, Noble Sugar Cane
 ニューギニアが原産と考えられる大形の多年草。茎は円筒形で直立。高さ2〜4mで、多くの節がある。茎の直径は太いもので4cm以上。外皮は蝋物質で覆われる。自家不稔性。
 砂糖の原料として世界中の熱帯、亜熱帯地域で栽培されているが、その他焼酎、ラム酒、食酢などの原料として利用される。さらに近年は絞り汁を発酵させてエチルアルコールを取り出し、自動車燃料として使う研究なども行われている。また絞りかす(バガス bagasse)は製紙用パルプや蝋の原料として利用される。
Saccharum officinarum
1960年 インドネシア
Sacharum officinarum
1981年 コートジボアール
Saccharum officinarum
1961年 ソマリア


 Sorghum モロコシ属
 大型の1年草または多年草。世界の熱帯から亜熱帯に約60種が分布する。

モロコシ(ソルガム)
Sorghum vulgareS. bicolor
英名/通称名:Sorghum, Grain Sorghum, Dura
 アフリカ原産の1年草。草丈は1〜4m。食用、醸造原料、飼料などとするために栽培される。3000年以上前にはすでに栽培化されていたとみられる。アフリカには多くの品種があり、現在でも何百万人もの人々の主食とされている。
Sorghum vulgare
1961年 ソマリア 1965年 セネガル


 Spartina スパルティナ属
 17種が南・北アメリカ、ヨーロッパ、南アフリカに分布。カゼクサ亜科に分類。

スパルティナ・アルンディナケア Spartina arundinacea スパルティナ・アルンディナケア
Spartina arundinacea
1972年 トリスタン・ダ・クーニャ


 Triticum コムギ属 (Wheat)
 地中海沿岸から中近東、アフガニスタンにかけて原産した1〜2年草。
コムギ Triticum aestivum コムギ
Triticum aestivum
英名:Common Wheat, Wheat, Bread Wheat
 イネ、トウモロコシとともに世界三大穀物のひとつ。世界人口の半数近くの主食をまかなう。紀元前7000年頃に、南西アジアのいわゆる肥沃な三日月地帯で栽培化されたと推定される。日本での栽培の歴史は、弥生時代後期あるいは縄文時代晩期にまでさかのぼると考えられている。
1961年 チェコスロバキア


 Urochloa ウロクロア属
 熱帯アフリカとアジアに約25種が分布。

ウロクロア・ブラキウラ Urochloa brachyura ウロクロア・ブラキウラ
Urochloa brachyura Syn. Panicum brachyura
英名:Urochloa
1984年 ボプタツワナ


 Zea トウモロコシ属
 栽培のトウモロコシ1種のみとされてきたが、1977年にメキシコ南部で多年生の自生種 Z. diploperennis が発見され、2種となった。

トウモロコシ
別名:トウキビ、トウムギ、ナンバン、ナンバ、コウライキビ、サツマキビ、マメキビ、トームギ、トーナ、ホーライキビ…等々多数あり。
Zea mays
英名:Maize, Corn
 南アメリカ原産の大型の1年草。
 ヨーロッパへは15世紀末にコロンブス一行によってもたらされたが、南アメリカでの栽培の歴史は古く、コロンブスが新大陸を発見したときには、現在みられるおもな品種はすでに開発されていたという。日本には天正7年(1579)に、中国を経由してポルトガル船で長崎に持ち込まれた。ナンバンキビ、トウキビなどの名前はそのためか。
 食用、発酵原料、工業原料、飼料など多くの用途があり、世界各地で栽培されている。
 コムギ、イネとともに世界の三大穀物のひとつ。
トウモロコシ Zea mays
1961年 チェコスロバキア
Zea tripsacum
1991年 西サハラ



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