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フトモモ科 Myrtaceae

世界に約155属3600種以上が知られる。主に南半球の熱帯から温帯に分布。すべて木本。精油成分を含み、香辛料や石油植物として利用されるものも多い。分類の非常に難しい科として知られる。

 Callistemon ブラッシノキ(ブラシノキ)属 Bottle Brush
 オーストラリア、タスマニア、ニューカレドニアに約30種が分布。英名:Bottle Brush
カリステモン・テレティフォリウス Callistemon teretifolius
カリステモン・テレティフォリウス
Callistemon teretifolius

南オーストラリア州原産の低木。
1975年 オーストラリア
ブラッシノキ Callistemon sp.
ブラッシノキ
Callistemon
sp.
1970年 バーミューダ
ブラッシノキ Callistemon sp.
ブラッシノキ
Callistemon sp.
2004年 セントヘレナ
ブラッシノキ
ブラッシノキ
Callistemon sp.
2006年 日本

ブラッシノキ参考写真
(2009年10月25日 咲くやこの花館)


 Eucalyptus ユーカリ属
 ほとんどがオーストラリアおよびタスマニアに分布するが、木材用や燃料用として世界各地で栽培されている。

ユーカリ Eucalyptus globulus
1991年 ウガンダ
リバーレッドガム Eucalyptus camaldulensis
1985年 アセンション
ユーカリ
Eucalyptus globulus

英名:Blue Gum Tree
エウカリプトゥス・カマルドゥレンシス(リバー・レッド・ガム)
Eucalyptus camaldulensis

英名:River Red Gum, Longbeak Eucalyptus, Australian Kino
オーストラリア原産。温帯域を中心に世界各地でひろく植栽されている。幹から採取される樹脂が Red Gum で咳、風邪、赤痢などの薬用に用いられる。材は建築、造船、鉄道の枕木、橋などに使われるが、硬くて重く、加工が困難という。


 Eugenia エウゲニア属
 約500種が知られる。現在フトモモ属に分類される種のほとんどが、最近までこの属に入れられていた。常緑の低木または高木。多くの種が有用植物として利用される。
ピタンガ(タチバナアデク、カボチャアデク、スリナム・チェリー)
Eugenia uniflora 英名:Surinam Cherry
 ブラジル南部からパラグアイ原産。世界中の熱帯で栽培されている。果実は生食、ジュース、ワインなどに。樹木は垣根に。
ピタンガ Eugenia uniflora
1991年 マデイラ
Eugenia uniflora
2000年 アルゼンチン


 Metrosideros ムニンフトモモ属
メトロシデロス・コリナ
Metrosideros collina
 ハワイ、トンガ、サモアなどポリネシア地域に分布。クック諸島のラロトンガ島の標高400メートル以上の地帯には「メトロシデロス雲霧林」が形成されている。
 裸地にまっ先に侵入するパイオニアプラント(先駆植物)のひとつ。

 ロンドンの自然史博物館Natural History Museum)のこちらのページにシドニー・パーキンソン(▼下切手参照)の描く、この植物の水彩画が掲載されています(2005年6月5日確認)。
メトロシデロス・コリナ Metrosideros collina Metrosideros collina Metrosideros collina
1990年 バヌアツ 2000年 ピトケアン島 1973年 ピトケアン島
シドニー・パーキンソン ▲シドニー・パーキンソン(Sydney Parkinson 1745 - 1771)。スコットランド生れの博物画家。バンクスに才能を見いだされ、エンデヴァー号の第1次航海に同行し、多くの精緻な植物画を残した。
参考文献:植物学と植物画
1986年 オーストラリア

Metrosideros demostrans メトロシデロス・デモストランス
Metrosideros demostrans
1983年 ニューカレドニア


 Myrteola ミルテオラ属
Myrteola nummularia ミルテオラ・ヌムラリア
Myrteola nummularia
英名:Tea-berry
 アルゼンチン、チリ、フォークランド諸島に分布。果実は食用にされる。
1983年 フォークランド諸島


 Myrtus ギンバイカ属
 芳香のある常緑の低木または高木。世界の温暖な地域に14属約160種が分布。
ギンバイカ(マートル、ミルテ)
Myrtus communis 英名:Common Myrtle
 高さ約3〜4mの常緑低木。ヨーロッパ南部の原産。現在では世界各地で栽培されている。
 アラビアやヨーロッパでは、ミルテの名で古くから親しまれ、「祝いの木」として結婚式の花輪にもされる。葉や果実は精油成分を含み、酒や食品の香り付け、香水の原料などに利用される。また果実は多汁で生食もできる。
 シューマン(R. Schuman 1810〜1856)の歌曲集の題名にもその名が使われている(『ミルテの花(Myrthen)』 op.25)。花言葉は「愛」。
【園芸】日当たりがよく、水はけのよい場所に植える。性質強健で乾燥にも強く、耐寒性もあり、暖地では野外でも育つ。病虫害もほとんどない。繁殖は実生による。挿し木はやや困難。参考文献:NHK趣味の園芸 樹木図鑑
■写真:ギンバイカ 花(大阪市内 2004年6月15日)
■写真:ギンバイカ 果実(京都府立植物園 2006年10月15日)
ギンバイカ Myrtus communis
2003年 マルタ
Myrtus communis
2003年 チュニジア
Myrtus communis
1961年 イスラエル

 Psidium バンジロウ属

グアバ(バンジロウ、バンザクロ)
Psidium guajava 英名:Guava 中国名:蕃石榴
 熱帯アメリカ原産の常緑低木。フトモモ科の中で最も有名な種。いまでは世界中で栽培され、野生化もしている。花は白色で腋生。直径2〜3cmで香りがよい。果実は長さ5〜12cmで、球形、卵形、洋ナシ型など品種によりさまざま。果皮は緑色で成熟すると黄色くなる。果肉にはビタミンCが豊富(レモンの約3倍)で、生食のほかグアバ・ジュースなどに利用される。またペクチンを多く含むので、ジャム、ゼリー、シロップ、ピューレなどに用いられる。生食する場合、果皮が薄くて柔らかいので皮ごと食べられる。果肉に石細胞を含むためややザラザラとした食感がある。葉に含まれるポリフェノールは、糖の吸収をおだやかにする作用があり、健康茶(グアバ茶)に利用される。
【栽培】丈夫で育てやすい。若木のときに新梢の先を軽く選定すると、コンパクトな樹形に仕上がる。
参考書籍:熱帯の有用果実 その他。

1990年 
バングラデシュ
Psidium guajava
1973年 ピトケアン島
Psidium guajava
1968年 カーボヴェルデ
グアバ
1983年 サモア
Psidium guajava
1992年 マデイラ

テリハバンジロウ Psidium cattleianum テリハバンジロウ
Psidium cattleianum
 英名:Strawberry Guava
 グアバ同様、世界中で栽培されている。果実は食用、樹木は生垣などに利用される。
 英名のストロベリー・グアバは、果実にイチゴの香りがあることによる。
 IUCN(国際自然保護連合 ※リンク先は日本委員会)の「世界の外来侵入種ワースト100」のひとつに指定されている。
1991年 マデイラ


 Syzygium フトモモ属
 約500種が知られる。従来はフトモモ属のほとんどがエウゲニア属に入れられていた。

チョウジノキ
Syzygium aromaticum 英名:Clove(フランス語のClou(釘)に由来) 中国名:丁香
 モルッカ諸島原産だが、世界中で栽培される。乾燥させた蕾を香辛料として利用する。
Syzygium aromaticum
1957年 マダガスカル
Syzygium aromaticum
1995年 モーリシャス

Syzygium cordatum シジギウム・コルダツム
Syzygium cordatum
一般名:Water Berry
1991年 ジンバブウェ

フトモモ
Syzygium jambos 英名:Rose Apple, Jambos 中国名:蒲桃 マレー名:Jambu
 高さ約10mになる常緑高木。インド原産で、東南アジアなどで広く栽培される。果実はバラに似た芳香があり、英名「ローズ・アップル」もこれにちなむ。味は淡泊で、果肉も固いため、ジャムなどに加工して利用する。
 和名の「フトモモ」は、沖縄でこの植物を指す言葉「フートー」に由来する。
■参考写真:フトモモの葉・樹幹(京都府立植物園 2006年10月15日)
Syzygium jambos
2000年 ピトケアン島
Eugenia jambos
1973年 ピトケアン島

マレーフトモモ
Syzygium malaccense
Eugenia malaccensis, E. macrophylla, Jambosa domestica
英名:Malay Apple, Mountain Apple
 高さ12〜24m。マレー半島原産。果実は紅色で、生食される。
マレーフトモモ Syzygium malaccensis
1976年 モントセラト
Eugenia malaccensis
1973年 ピトケアン島

1975年 サモア

シジギウム・オペルクラトゥム Syzygium operculatum シジギウム・オペルクラトゥム
Syzygium operculatum
1991年 クリスマス島


 Xanthostemon クサントステモン属
 多くの種が南太平洋の島々に分布する。
Xanthostemon aurantiacum クサントステモン・アウランティアクス
Xanthostemon aurantiacus(印面ではX. aurantiacum
 ニューカレドニア島の乾燥地に生育する低木または小高木。花は直径約3cm。
1983年 ニューカレドニア



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