Allium ネギ属
新分類体系ではネギ科に移動。鱗茎が発達する多年草。北半球を中心に約500種が知られる。植物体に硫化アリルを含み、独特の辛みとにおいをもつ。
- ニンニク Allium sativum
- 英名:Garlic
- タマネギについで重要なネギ属の栽培植物。原産地は中央アジアといわれるがはっきりとしない。くちばし状の総苞のなかに淡紫色の花をつけるが、通常は未開花のまま枯死し、種子はできない。
Bulbine ブルビネ属
最新の分類体系ではツルボラン科に移動。南アフリカに約30種が知られる。多肉質で根や葉の形態の変異が大きい。花は黄色またはオレンジ色。乾燥や高温に強く、栽培は容易。
- ブルビネ・フルテスケンス Bulbine frutescens
Calochortus カロコルトゥス属
カナダ南西部、米国カリフォルニア州からネブラスカ州、およびグアテマラにかけて約65種が分布。カロコルトゥス科を置く説もある。属名はラテン語で「美しい草」を意味し、チューリップに似た美しい花をつける。米国では古くから園芸植物として珍重され、Sego
lily, Mariposa Lily, Fairy Lantern, Star Tulip, Pussy Ears など多くの一般名がある。
- カロコルトゥス・ヌッタリイ Calochortus nuttallii
- 一般名(英):Sego lily, Mariposa Lily
- 鳥はカリフォルニアカモメ
Colchicum イヌサフラン属 (Autumn Crocus)
最新の分類体系ではイヌサフラン科に移動。ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア、中央アジアに約45種が分布する。属名は、黒海東端地域の古代名「コルキス Colchis」から。英名は Autumn Crocus だが、アヤメ科のサフランとは別物。有毒物質のコルヒチンを含む。コルヒチンは染色体を倍加する働きがあり、品種改良や遺伝学的な実験に用いられてきたが、同時に発がん性もあると考えられている。
- イヌサフラン(コルチカム) Colchicum autumnale
- 一般名(英):Autumn Crocus, Colchicum
- ヨーロッパ、北アフリカ原産の多年草。初秋に、葉の展開に先立って淡桃色または白色の花を咲かせる。園芸品種も多い。園芸では「コルチカム」などと呼ばれることが多い。
- 【管理】秋植えの球根植物。植え込みは8月から9月上旬。耐寒性もあり、育てやすい。土や水がなくても机の上に転がしておくだけで花が咲くことで知られるが、花を咲かせたあとは土に植え込んでやるとよい。
Convallaria スズラン属
最新の分類体系ではキジカクシ科へ移動。横に走る地下茎をもつ多年草。北半球の温帯域に数種分布するが、Convallaria majalis 1種のみで、その他は地理的変異とみなす場合もある。
Crinum ハマオモト(クリヌム)属
熱帯、亜熱帯地域に約130種が分布。ヒガンバナ科とするのが一般的だが、クロンキスト分類体系ではユリ科となる。
- ハマオモト(浜万年青) Crinum asiaticum var. japonicum
- 別名:ハマユウ(浜木綿)
- 英名:Largest Crinum, Asiatic Poison Bulb
- 中国名:文殊蘭
- 日本の関東地方以西の海岸の砂地に生える多年草。和名は常緑の葉が万年青(おもと)に似ることによる。また、「ハマユウ」は本居宣長が『玉勝間(たまかつま)』に「白く垂れる花の姿が木綿(ゆう=コウゾの樹皮からとった白い繊維)に似ているからであろう」と記す。宮崎県の県花。
- クリヌム・アシアティクム Crinum asiaticum
- クリヌム・エルベスケンス Crinum erubescens
- クリヌム・マコワニイ Crinum macowanii
- クリヌム・オルナトゥム Crinum ornatum
- クリヌム・ギガンテウム Crinum giganteum
Dianella キキョウラン属
最新の分類体系ではワスレグサ科に移動。常緑の多年草。東南アジアからオーストラリアに10~30種が分布。
- キキョウラン Dianella ensifolia
- 中国名:山管蘭
- オーストラリア、タスマニア島、ニュージーランド、西太平洋諸島やアフリカ、マダガスカル島に広く分布。日本では本州、四国、九州南西部、南西諸島に分布。多年草。茎は高さ60~80cm。花期は7~8月。花被片は淡紫色で、葯は黄色。果実は直径約1cmの球形の液果。鮮やかな青紫色で光沢があり美しい。熱帯地域ではグラウンドカバーに利用される。地方的変異が多い。有毒植物。中国では全草あるいは根茎(山猫児)を瘰癧、腫れもの、疥癬などのかゆみ止めに用いる。マレー半島では根を干して香料とする。
Eremurus エレムルス属
最新の分類体系ではツルボラン科に移動。ヨーロッパから中央アジアにかけて約45種が分布。多年生の草本。属名はラテン語の Eremo (砂漠)と Uro (尾)に由来し、自生地と花穂のかたちによる。
- エレムルス・ヒラリアエ Eremurus hilariae
Erythronium カタクリ属
塊茎を有する多年草。北米を中心に世界で約24種が知られる。花色は変化に富む。属名は「赤い花を咲かせる」というギリシア語に由来するが、リンネによって記載されたヨーロッパ産の
Erythronium dens-canis の花色がもとになっている。
- カタクリ Erythronium japonicum
- 英名:Japanese Dog's Tooth Violet
- 花は美しく、万葉の昔から日本人に親しまれてきた植物。古名を堅香子(かたかご)という。観賞用として栽培されるほか、鱗茎からは良質のデンプンがとれる。石臼でひき、木綿で濾して片栗粉をとった。なお、現在市販されている片栗粉の多くは、ジャガイモやトウモロコシからつくる。鱗茎はそのまま食べてもおいしく、若葉もゆでて食べられる。
Fritillaria バイモ(フリティラリア)属 英:Fritillary
北半球の温帯に約100種が分布しているが、地中海地方から西アジアに多い。日本にもクロユリ、コバイモが自生する。
- クロユリ Fritillaria camtschatcensis
- 一般名:Kamchatka Fritillary, Kamchatka Lily
- 本州中部以北、北海道、サハリン、カムチャツカ、千島、アラスカ、北米西部に分布する。草丈10~30cm。葉は2~3段に輪生してつく。花は黒紫色で内側に濃い色の斑点があり、やや下垂して咲く。鱗茎は食用になる。北海道の低地に生育するものは、おもに3倍体で、エゾクロユリとよばれたりするが、植物体は大きく花数も多く、育てやすいため、クロユリの球根として園芸店で売られている。
- フリティラリア・エドゥアルディー Fritillaria eduardii Syn. Petilium eduardii
- 中央アジアにまれに分布。ヨウラクユリ F. imperialis に似る。高さ1m前後。絶滅危惧種とされているようである。
- フリティラリア・ルテア Fritillaria lutea
- Fritillaria stribrnyi
- Fritillaria moggridgei (学名は印面のまま)
- Fritillaria drenovskyi
- フリティラリア・ロドカナキス Fritillaria rhodokanakis
- ギリシャの一部の島にみられる。
Galanthus ガラントゥス属
ヨーロッパ西部からカフカス山脈とイランにかけて18種が分布。早春の雪の中で開花し、春を告げる花として知られる。属名は「乳色をした花」の意。ヒガンバナ科として扱われることも多いが、クロンキスト分類体系ではユリ科となる。
- スノードロップ(ユキノハナ) Galanthus nivalis
- 英名:Common Snowdrop
- ヨーロッパ南部からカフカス地方の原産。アダムとイブが楽園を追われたとき、天使がイブを慰めるため降りしきる雪に息を吹きかけたところ、その雪の落ちた場所からこの花が咲いたという伝説がある。カトリックでは2月2日の聖母マリアの浄めの祭日(聖燭節)に捧げられ、「聖燭節の釣鐘草」または「2月の美しい少女」とよばれている。またイングランドのある地方では、白い花が屍衣を連想させ、この花を家に持ち込むのを忌み嫌うところもある。種小名は「雪の、雪の多い、氷雪帯に生じる」の意。花言葉は「希望と慰め」。
- ガラントゥス・プリカトゥス Galanthus plicatus
Gloriosa グロリオサ(キツネユリ)属
最新の分類体系ではイヌサフラン科に移動。東南アジアから熱帯アフリカにかけて分布。塊茎(かいけい)のあるつる性植物。多年草。分類法によってはイヌサフラン科に組み入れる場合もある。また、従来はいくつかの種に分けられていたが、現在では1属1種とされる。属名はラテン語の「Gloriosus (りっぱな)」から。
- グロリオサ・シンプレクス Gloriosa simplex
- グロリオサ・スペルバ Gloriosa superba
- 英名:Flame lily, Climbing lily
- 東南アジアから熱帯アフリカにかけて分布。花被片は細く、反り返り縁が波打つ。雌しべの花柱は鋭く折れ曲がり、横に突き出る。塊茎はコルヒチンを含み有毒。種小名は「素晴らしい、華麗な」の意味。
- グロリオサ ‘ロスチャイルディアナ’ Gloriosa superba 'Rothschildiana'
- 切手印面の学名はGloriosa rothschildiana となっているが、現在ではグロリオサG. superba の1品種として扱われる。
Haemanthus ハエマントゥス(マユハケオモト)属
熱帯アフリカおよび南アフリカにおよそ20数種が分布。属名はギリシャ語の「血」と「花」に由来。和名のマユハケオモト(眉刷毛万年青)の名は、糸状の雄しべの目立つ花を眉刷毛に、幅の広い葉を万年青(オモト)に見立てたもの。
- センコウハナビ Haemanthus multiflorus
- 英名:Blood lily
- 熱帯アフリカ原産。花茎は高さ約15cm。初夏に球状の散形花序に多数の花をつける。和名はその様子を線香花火に見立てたもの。
Hemerocallis キスゲ属
東アジアの温帯域に10種あまりが分布。一日花で英名も Day-Lily 。若芽や花は野菜として食用にされる。中国料理で「金針菜」とよばれているのは、ユウスゲやホンカンゾウの花を乾燥させたもの。地下部にはコルヒチンなどのアルカロイドを含み、中国では利尿や黄疸、止血に用いられる。花が美しく、種間の交配が容易なため、数多くの交配品種がつくられている。
- ホンカンゾウ Hemerocallis fulva
- 英名:Tawny Day-Lily, Fulvous Day-Lily
- ニッコウキスゲ Hemerocallis middendorffii var.esculenta
Hippeastrum ヒッペアストルム属
エングラーや最新の分類体系ではヒガンバナ科(Amaryllidaceae)として扱われる。半耐寒性の球根植物。ブラジル、ペルーを中心に南アメリカに約70種が分布する。そのいくつかを交雑して育成された園芸品種群を、一般に「アマリリス」とよぶ。園芸的には、鉢植えや花壇に、また切花としても利用される。春に葉が出始める頃に開花するが、秋咲きのものもある。
- ヒッペアストルム・プニケウム Hippeastrum puniceum
- フランス領ギアナからペルーまで広く分布する。花茎の長さは30~60cmで、黄赤色で喉が緑色を帯びる花を2~4個つける。花の直径は約15cm。葉は花茎が伸びた後に現れる。日本に最初に導入されたアマリリスで、天保年間(1830~44)に渡来。「金山慈姑(きんさんじこ)」の名でよばれた。
Hyacinthoides ヒアキントイデス属
西ヨーロッパおよびアフリカ北部原産。葉は線形または帯状。
- ヒアキントイデス・ノン・スクリプタ Hyacinthoides non-scripta
- 英名:Bluebell
Hymenocallis ヒメノカリス属
ヒガンバナ科に入ることが多いが、クロンキスト分類体系ではユリ科となる。米国南部から南米アンデス地方にかけて25~30種が分布。花は白色で芳香がある。細長い花被片がクモの脚のように見えることから
Spider Lily の名がある。
- ヒメノカリス・カリバエア Hymenocallis caribaea
- 西インド諸島原産。香りのある白い花を多数つける。
Hypoxis コキンバイザサ属 (Star-Grass)
約80種が熱帯を中心に広く分布。
- ヒポクシス・ヘメロカリデア Hypoxis hemerocallidea
- アフリカ東部から南アフリカ原産。近年は抗癌作用、抗HIV作用が注目されているという。