Erythrina デイコ(エリスリナ、エリトリナ)属
熱帯、亜熱帯に約110種が分布。花はいずれも紅色で大型。成長が早く、材は柔らかで腐りやすい。属名はギリシャ語の「erythros(赤い)」に由来する。
- デイコ(デイゴ) Erythrina variegata
- Syn. E. indica, E. variegata var.orientalis
- 英名:Red Coral Tree, Indian Coralbean
- 原産地は東南アジアとされ、インドでは野生のものも多い。幹や枝に黒く太い刺がある。インドやマレーシアでは若芽を野菜や家畜の飼料にする。樹皮は駆虫、麻痺、下痢、疥癬など薬用にも用いられる。材は軽く柔らかで、沖縄漆器の木地や下駄、琴、棺などに利用される。沖縄県の県花である。
- ホソバデイコ(アメリカデイコ) Erythrina falcata
- Syn. E. crista-galli
- 別名:カイコウズ
- 英名:Common Coral Tree
- 日本には明治時代に導入されたらしい。暖地の各地で街路樹や公園樹に用いられている。鹿児島県では県木にもなっている。
- エリトリナ・グラウカ(エリトリナ・フスカ) Erythrina glauca
- Syn. E. fusca
- 英名:Swamp Immortelle, Kaffirboom Coral Tree, Bucayo, Coral Bean
- 熱帯アジア、太平洋、中米、アマゾン川流域に分布。
- エリトリナ・ポエッピギアナ Erythrina poeppigiana
- エリトリナ・ラティッシマ Erythrina latissima
- 英名:Broad-leaved Coral
- 南アフリカ産のデイコの1種
- エリトリナ・リシステモン Erythrina lysistemon
- アフリカ南部に分布。高さ約6m。豆果(とうか)は黒褐色または黒色で長さ約15cm。種子の間がくびれている。種子は赤く、首飾りなどにされるという。また樹皮と葉は薬用に利用される。繁殖が容易でひろく栽培されている。
- エリトリナ・セネガレンシス Erythrina senegalensis
Glycine ダイズ属
アフリカ、インドから東アジア、マレーシア、オーストラリアに約10種が分布。属名はギリシャ語の「glykys(甘い)」からきている。
- ダイズ Glycine max (印面では Glicine max)
- 英名:Soybean, Soja, Soya
- 野生のツルマメ G. max subsp. soja を改良してつくられた農作物。表面が黒いものは俗にクロマメ、緑色のものはアオハタマメとよばれる。
Indigofera コマツナギ属
おもに熱帯・亜熱帯に約700種が分布。多年草または低木。属名はラテン語で「藍色をもつ」の意で、この属の一部の植物から藍色の染料インディゴを採るから。なお、藍を採取する植物としては他に、タデ科のアイ Polygonum tinctorium、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ Baphycacanthus cusia など数種がある。
- インディゴフェラ・アラビカ Indigofera arabica
Julbernardia ユルベルナルディア属
- ユルベルナルディア・パニクラタ Julbernardia paniculata
- ザンビアに普通にみられる。重要な蜜源植物。
Lablab フジマメ属
フジマメ1種だけからなる単型属。属名(lablab)はアラビア語でマメの意味。
- フジマメ Lablab purpureus
- 別名:センゴクマメ、サヤマメ(京都)、インゲンマメ(関西)、ハッシュー(長崎)
- 英名:Hyacinth Bean, Bonavit Bean, Lablab Bean, Seins Bean, Indian Bean, Lubia Bean, Egypt Bean
- 中国名:扁豆
- つる性の多年草。アフリカが原産地と考えられている。茎はつる状で他物に絡んでのびる。世界の熱帯、亜熱帯で広く栽培されている。温帯で栽培されているものは1年草として扱われる。葉は3小葉。花は紫または白色で、葉腋に総状花序につく。果実は扁平で、長さ5~7cm。さやの先端に花柱が残る。和名は花がフジに似ていることによる。若い豆果を野菜として利用する。また、インドネシアではフジマメで豆腐を作るという。関西地方ではこの植物をインゲンマメと呼ぶこともあるが、本来のインゲンマメとは別もの。従来はコウシュンフジマメ属 Dolichos に入れられていたため、切手印面は旧学名の Dolichos lablab となっている。
Lathyrus レンリソウ属
北半球の温帯を中心に、約150種が分布。食用になる種もあるが、ラシリズム(lathyrism)と呼ばれる中毒を起こすものも多い。ソラマメ属に近縁。日本には4種が生育。
- ハマエンドウ Lathyrus japonicus
- 英名:Sea Pea, Seaside or Beach Pea
- 海岸の砂地に普通にみられる多年草。北半球の暖帯から亜寒帯、およびチリに分布。日本でも北海道から琉球諸島に見られる。豆果が食用にされることもあるが、苦味がある。
- スイートピー Lathyrus odoratus
- 別名:麝香連理草、麝香豌豆、花豌豆
- 英名:Sweet Pea
Lespedeza ハギ属
約40種がアジアと北アメリカの暖温地域を中心に分布。低木または多年生の草本。閉鎖花(へいさか)をつくるメドハギ亜属と、閉鎖花をつくらないヤマハギ亜属にわけられる。メドハギ亜属はアジアと北アメリカに広く分布、ヤマハギ亜属は東アジアのみに分布。属名の Lespedeza は、1784~90年にフロリダ総督であったスペイン人のセスペデス(V.
M. de Cespedes)にちなみ、頭文字の C が 間違ってL に置き換わってしまったもの。
- ミヤギノハギ Lespedeza thunbergii
- 公園などに広く植栽されている多年草。枝はよく枝垂れる。地上に出ている茎や枝は一年生。葉は三出複葉。小葉は狭楕円形で基部と先端がとがる。日本のどこにも野生していない。起源には日本固有とする説、日本と中国に自生するとする説、中国原産で日本には自生しないとする説、ケハギと不明種との雑種とする説など、諸説ある。1955年に宮城県の県花に制定。
Lupinus ルピヌス(ルピナス、ハウチワマメ)属
北米西部、南米、地中海沿岸、ヨーロッパ南部、北アフリカに約200種が分布するが北米がもっとも多い。属名は「オオカミ」の意。この属の植物が土壌の肥沃さを破壊すると信じられていたことによる。実際には土地を荒らすようなことはなく、むしろ緑肥として用いる場合もある。
- ルピヌス・アルボレウス Lupinus arboreus
- 英名:Bush Lupine
- ルピヌス・ピロスス(カサバルピナス) Lupinus pilosus
- Syn. L. irsutus, L. micranthus
- 南欧原産。高さ40~80cm。
- ルピナスの1種 Lupinus sp.
- 鳥はマネシツグミ
Millettia ナツフジ属
アフリカからアジアにかけての熱帯、亜寒帯を中心に約100種が分布。日本にはつる性のナツフジ Millettia japonica 1種が自生。属名は18世紀のフランスの植物学者ミレー(J. A. Millet)にちなむ。
- パンガ・パンガ Millettia stuhlmannii (切手印面はMilletia)
- 英名:Panga Panga, Jambire(モザンビーク)
- 木材としておもに利用される。
- ミレッティア・アウストラリス Millettia australis
- Millettia takou
Pisum エンドウ属 (Pea)
地中海沿岸から西アジアにかけて数種が分布。1年草または多年草。食用とされる種が多い。属名はエンドウのラテン語での古称。
- エンドウ Pisum sativum
- 別名:ノラマメ、ブントウ、ニドマメ、ツルマメ、ユキワリ、サンドマメなど多数
- 英名:Pea, Garden Pea
- 地中海沿岸地方原産の1年草または越年草。高さ約1m。葉は2~6枚の小葉からなり、葉軸(ようじく)の先端は巻きひげになる。花は白色または赤紫色。若いさやを野菜として利用するサヤエンドウの品種群、完熟前の豆を食用とするグリーンピースの品種群、完熟豆を用いる品種群にわかれる。日本には江戸時代に渡来。現在でも各地で栽培されているが、多くは輸入に頼っている。
- 切手に描かれている人物はオーストリアの修道士メンデル G.J.Mendel(1822-84)で、教会の中庭でエンドウの人工交配による実験を8年間続け、遺伝の法則を発見したことで知られる。花言葉は「喜びの訪れ」